今、アップルがSIMフリーiPhoneを直販する 3つの意味。携帯3社の対抗策は? - iPhone Mania

今、アップルがSIMフリーiPhoneを直販する 3つの意味。携帯3社の対抗策は?
 
11月22日、アップルはオンラインストアiPhone 5s/5cのSIMフリーモデルの販売を開始しました。アップルiPhone 5s / 5cの商品ページには存在しなかった「今すぐ購入」ボタンが出現し、リンク先に設けられた「iPhoneストア」で、SIMフリー版が直接販売されています。

iPhone 5sの出荷は1~2週間。割引前のキャリア3社との価格差は数千円から

iPhone 5sの出荷は1~2週間、価格はソフトバンク、auより数千円割高
 
iPh_5dd89214d5f6aone 5sは各容量・各色とも1~2週間で出荷、iPhone 5cは1~3営業日で出荷となっています。
 
価格はiPhone 5sは16GBが71,800円、32GBが81,800円、64GBが91,800円です。iPhone 5cは16GBが60,800円、32GB71,800円です。参考に、各キャリアから一括購入した場合(各種割引適用前)と比較してみると、各モデルともソフトバンクauより数千円高く、ドコモより割安になっています。
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ソフトバンクau、ドコモの3大キャリアで契約すると月額料金に対し各種割引サービスが適用されます。しかし、SIMフリー端末を購入して、キャリアからSIMカードを購入して契約した場合、3大キャリアの割引が適用されません。そのため、大手キャリアの利用を想定すると、月々の支払額の面ではメリットは薄いと言えます。

このタイミングで販売された3つの意味

アップルは、諸外国ではオンラインストアiPhoneを直接販売していますが、日本では販売していませんでした。アップルはなぜ、このタイミングでSIMフリーiPhoneの直接販売を開始したのでしょうか?
 
一つには、大手キャリアへの配慮が考えられます。ドコモがiPhoneの取り扱いを開始し、大手3キャリア全社がiPhoneを販売するようになったため、SIMフリーになってもユーザーの大きな移動は発生しないと見込まれます。もし、ドコモのiPhone販売参入前にアップルがSIMフリーiPhoneを販売していたら、ドコモからユーザーが大量流出していたのではないでしょうか。
 
二つ目に、iPhone 5s / 5cの発売と同時にSIMフリーで直接販売せず、発売から2か月余りが経過したこのタイミングとなったのは、iPhone 5sの端末供給が予約後7日程度で入手可能となる程度まで安定したことが考えられます。
 
3つ目としては、iPhoneは日本国内のスマートフォン出荷台数で5割超のシェアを持つとはいえ、国内の契約数はほぼ飽和状態と言われています。そこで、3大キャリアユーザー以外の層を取り込むことで、さらに販売数を伸ばそうとしている可能性もあります。
 
アップルのWEBサイトには「複数年のサービス契約を結びたくない場合や、海外で地元の通信事業者を使いたい場合は、SIMフリーiPhoneを選ぶことをおすすめします。」と記されています。

携帯3キャリアの今後の対抗策に注目

国内携帯電話キャリアから販売されるiPhone等の携帯電話にはSIMロックがかかっており、違うキャリアのiPhoneSIMカードを差しても利用することはできませんでした。これは、「2年縛り」と言われる長期契約を条件に、割賦販売する端末代金を大幅に割り引く、日本とアメリカで主流の販売戦略と表裏一体です。「実質0円」などの格安な端末代金はSIMロックがあればこそ誕生したと言えます。
 
iPhoneSIMフリーになったことで、ユーザーは「nano SIMカード」を差し替えれば、国内外で好きな通信会社を利用可能となります。国内ではあまり一般的ではありませんが、MVNOと呼ばれる新興通信会社が、割安な料金でサービスを提供しています。今後、大手3キャリアは、対抗策として、顧客囲い込みのためにサービスと料金で競争を激化させることが考えられます。iPhoneをめぐる各社の動向が一層、注目されます。
 
追記(11/23):発売翌日、アップルストアSIMフリーiPhoneの取り扱い予定について尋ねたところ「取り扱いについては未定」との回答がありました。
 
参照元:アップル
執 筆:hato