パテント・トロール、今度はApple Watchのアプリに牙を剥く! - iPhone Mania

特許 apple watch
 
iTunesが特許を侵害しているとして、数百億_5dd89214d5f6a円にのぼる賠償金支払いをアップルが命じられた事件は、一躍「パテント・トロール(特許専門屋)」の存在を明るみに出すこととなりました。そしてニュースサイト9to5macによれば、彼らの次なる獲物は、スマートウォッチのようです。

Apple Watchアプリが10年近く前の特許に引っ掛かった!

アプリの開発者であるAllen Wong氏を、今年の夏Intellectual Capital Consulting(ICC)なる企業が訴えに出ました。理由は、Wong氏の作成したTeslaのModel Sに搭載されているいくつかの機能をApple Watchで操作出来るアプリ「Remote S App」が、2006年に有効となったICCの特許「リモート・ウォッチを使った車のセキュリティ・システム」に抵触しているというものです。

ディスプレイ・スクリーンとキーパッドからなる車のセキュリティ・システムのためのリモート・ウォッチ・デザイン:リモート・ウォッチのユーザーは、時間を把握することが出来るだけでなく、時計の特定ボタンを押すことで、乗り物の施錠や解除が出来るようになる。キー機能がついたキーレスの遠隔操作は、キーを紛失したり、間違えた場所に置いてしまったりする人には打ってつけである。

 
特許 apple watch
 
Apple Watchとは似ても似つかない画像が記されているこの特許は、セキュリティ関連に特化しているため、音声機能や空調コントロール、サンルーフを開けるといったことが出来る「Remote S App」からしてみれば、機能のごく一部でしかありません。また、Teslaが公式にリリースしているiPhoneアプリでも同様の機能は使えます。しかし、ICCにとっては、「Remote S App」がApple Watchを通して使えるというところがポイントだったようです。

わざわざ田舎で裁判を起こす理由

またAllen Wong氏によれば、わざわざICCがテキサス東部に訴訟場所を選んでくることも、彼らの戦略のうちだそうです。

「問題は、テキサス東部にある小さな町の陪審員が十分な教育を受けていないという点にある。彼らのうち、20%しか大学の学位を持っておらず、大半は裁判で何が起こっているのか理解も出来ないだろう。そしてそれこそ、パテント・トロールたちが、この裁判所を愛する所以だ。全国平均では59-68%の確率で勝訴するのに対し、彼らは78-88%の確率で勝訴するからだ。そのうえ、裁判官も数億ドルもの賠償金を気前よく命じてくれる傾向にある」

冒頭で紹介した、iTunesがSmartFlashの特許を侵害しているとしてアップルが敗訴した事件も、舞台はテキサス東部でした。
 
ICCは、特許使用料として前もって200万ドル(約2億4,000万円)、さらに毎年100万ドル(約1億2,000万円)の支払いを要求してきているそうです。もちろん、Wong氏はこのアプリがヒットしたおかげで小金こそ出来たものの、ここまで高額の特許使用料を支払えるだけの余裕はありません。さらに「Remote S App」で手にした儲けは、すべて裁判費用で飛んでいってしまうとのことです。
 
しかし、公正を期すために付言しておくと、パテント・トロールが特許を利用していることは確かですが、その一方で、実態のない彼らが大企業に勝訴してしまうということは、特許権が守られていることの証でもあります。大企業の資金力を持ってしても太刀打ちできないという現実は、見方によっては、特許保有者によって救いであることも言えます。
 
 
Source:9to5mac
(kihachi)